大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

札幌高等裁判所函館支部 昭和27年(う)142号 判決

論旨は被告人が龜田村助役厚谷政治から金一万円を收受したのは職務に関して賄賂を收受したものでない。従つて原判決がこれに対し刑法第百九十七条第一項前段を適用したのは法令の解釈適用を誤つたものであるというのである。收賄罪は公務員の職務に関する違法なる報酬を收取するところであるのは所論のとおりである。原判決が挙げる被告人の検察官の面前における昭和二十六年八月二十七日の供述調書と押收してある「係員の事務分掌について」と題する書面によると被告人が地方財政平衡交附金の資料審査起債申請書の受理書類の不備訂正法解釈の指導等の事務を担任していたことが明らかであるから、これ等の事務に関し賄賂を收受すれば收賄罪の成立するのは多言を要しない。所論は收賄の原因となるのは相手方に特定の便益を与える可能性のある職務でなくてはならない。書類の不備の訂正指導等は特別の利益を与えるものものでなく、その職務は全く機械的なもので便宜を与える余地はないと主張するが、書類の不備を訂正指導する行為が便宜を与えないとはいえないから所論は採ることができない。従つて原審がその挙示の証拠により職務に関し賄賂を收受したものと認めたのは正当であつて所論のような法令の解釈適用を誤つた違法はなく、また事実の誤認もない。論旨は採用できない。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!